土用干しのすすめ
今年、2009年は7月19日が「土用の入りの日」です。土用は春夏秋冬の年に4回ありますが、現在では一般に土用といえば「夏の土用」のことを指します。立秋の前の18日間が「夏の土用」で、その初日が“土用の入り”です。
梅仕事をされる方にとって、土用といえば「土用干し」です。
梅干をつくるうえで、土用干しには色々な利点があります。
まず1つめの利点は「梅の保存性が増す」ことです。土用のころは太陽の日差しが強く、お天気も安定しています。夏場の強い太陽熱は“自然の殺菌装置”です。布団や衣類も太陽にあてて細菌やカビの繁殖を防ぎます。梅干をより長く保存するために、真夏の太陽のエネルギーをたくさん吸収させてあげてください。
土用干しの2つめの利点は「風味が増す」ことです。梅の実を太陽にあてますと、塩の“とがり”がとれて、味がまろやかになります。紘斉流の梅干づくりでは「陽干し」を3日、そのあと3晩の「夜干し」をおすすめしています。夜露にあてることで塩の結晶が溶け、実の表面がしっとりして、皮も果肉も柔らかくなります。口当たりのいい、おいしい梅干にするには土用干しは欠かせません。
3つめの利点は「梅干の色がより鮮やかになる」ことです。紫蘇(しそ)漬けの赤は、赤紫蘇の葉でつけた色ですが、梅の実を梅酢から出して干し、夜は梅酢に戻すというふうに、梅酢に入れたり出したりを繰り返していると色はより鮮やかになります。
せっかく手間ひまかけて漬けた梅を「梅漬け」で終わらせるのと、「梅干」にするのとでは値打ちが違います。もうひとがんばり手間をかけて、ぜひ土用干しをなさってください。そして、最高においしいすっぱい梅干に仕上げてください。
さて、土用にもうひとつ欠かせないのが「土用の丑(うし)の日の鰻(うなぎ)」です。
土用の丑の日に鰻を食べるようになったのは、今から約250年前、江戸時代の天才発明家・平賀源内が、あまり繁盛していない鰻屋の主人に、商売繁盛のよいアイデアはないかと相談されて「本日は土用の丑の日 鰻の日」と看板に書いて張り出したことが始まりといわれています。
250年も続く習慣をつくった源内さんのアイデアはたいしたものですね。でも、土用に鰻を食べる習慣が長く続いた本当の理由は、暑さで食欲が落ちて夏バテが始まるこの季節に、鰻を食べることが栄養学的に非常に理にかなっていたからだと思います。
夏場の魚といいますと、どうしても脂っけがなく、栄養価も少なくなっているものが多いですが、鰻は別です。タンパク質も脂肪もたっぷりです。鰻の脂肪には血液中の中性脂肪を減らすEPA、DHAなどの不飽和脂肪酸がたくさん含まれています。ビタミンAも豊富で、なんと、鯖(さば)の約50倍、ビタミンEは12倍もあります。鰻はスタミナ源としてもビタミン源としても夏バテ予防にぴったりの食材です。
最後につけ加えさせていただくと、鰻と梅干は「食い合わせ」で相性が悪いというのは、まったくの迷信です。むしろ脂っこい鰻に胃腸の調子を整えるすっぱい梅干は、相性のよい食べ物同士というべきでしょう。
すっぱい梅干以上におすすめなのが梅肉エキスです。梅肉エキスは胃腸の調子を整えたり、食中毒の予防をしてくれたりと、夏の健康管理に欠かせない食品です。ご家族そろって1日3gの梅肉エキスを召し上がって、厳しい夏を元気にお過ごしください。(2009年7月16日)




