新型インフルエンザ
新型インフルエンザが猛威をふるっています。
インフルエンザウイルスにはヒトに感染するものと、動物だけに感染するものがあります。しかし、動物だけに感染するインフルエンザも、動物間で流行しているうちに、遺伝子の突然変異が繰り返され、ヒトに感染する力を獲得することがあります。これまで、豚や鳥などの動物だけに感染していたインフルエンザが、ヒトからヒトへ容易に感染しやすくなったものが「新型インフルエンザ」です。
現在、世界中で流行しているA(H1N1)型は、豚のインフルエンザが突然変異し、ヒトからヒトに感染するようになったので、「新型インフルエンザ」です。以前から流行が懸念されていた鳥インフルエンザA(H5N1)型は、今のところ、ほとんどヒトからヒトに感染していないので「鳥インフルエンザ」のままです。
新型インフルエンザに対しては、地球上のだれひとり免疫を持っていないため、新型が出現すると大流行が起こります。幸いにも、今回の新型インフルエンザは弱毒性で、多くの人は感染しても軽症で回復しています。ただし、心臓病、糖尿病、ぜんそくなどの基礎疾患のある人は、重症化する可能性が高くなります。また、国内の死者は36人(10月28日現在)に達していますが、そのなかには基礎疾患のない人も含まれており、油断はできません。死亡する可能性のある疾患である限り、感染する人の数が増えれば、死亡者は増えていきます。感染拡大をどこで食い止めるかが非常に重要です。
どんなに感染症が流行しても、それにかかる人とかからない人がいます。それは、その人本人がもともと持っている免疫力の差によるものです。ウイルスが体内に侵入しても、免疫力が強ければ発症を未然に防いだり、重症化しにくいものです。免疫力を強くするためには、免疫細胞をいかに活性化させるかがポイントとなります。そこで、私と菌類薬理研究所所長。元・三重大学医学部助教授・伊藤均先生の共同研究をご紹介します。
昨年10月、国立感染症研究所の長谷川秀樹室長らが、新型インフルエンザワクチンにキノコの一種「メシマコブ」の抽出物を加えることで、ワクチンの効果が高まることを発表しました。長谷川室長らが使用したメシマコブおよび姫まつたけ、カワラタケ、古梅霊芝などのキノコ類に含まれる「β-(1-3)-D-グルカン」の結合を主鎖とする多糖体「β-グルカン」が、抗腫瘍活性、インフルエンザA型ウイルスや日本脳炎ウイルスに対して感染防御活性を示すことを、我々は30年以上前に発表しています(『三重医学』19巻、293~298頁、1976年)
多糖体は次のような作用により、生体防御作用を強化し、インフルエンザを予防すると考えられます。
(1)免疫系のスターターにあたる補体の中枢である第三成分を直接動かして、マクロファージ(血液・肺・肝臓・脾臓・骨髄・腹腔・リンパ系組織などに分布)の活性化を導く。
(2)免疫システムにおける“番人と兵士”の役割をするマクロファージの異物(インフルエンザウイルスなど)貪食活性率を顕著に高め、病原微生物からの感染防御に有効。
(3)インフルエンザウイルス感染下においても、全T細胞、ヘルパーT細胞、ナチュラル・キラー細胞、マクロファージなどの免疫細胞を有意に増加させ、免疫機能の低下を防止。
(4)インターフェロンを誘起し、ウイルスの増殖を抑える。
姫まつたけや古梅霊芝などキノコ類に含まれる多糖体は、新型インフルエンザに対する感染予防効果を持つ21世紀の免疫賦活食品として期待されています。
※詳しくは、『梅家族』2009年12月号(11月中旬発行)に掲載されています。
ぜひお読みください。(2009年10月29日)




